My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「王家の方々も剣を取り、ガスパル達と戦いました――壮絶な戦いでした。森や川は血に染まり。小鳥達は姿を消した」
「――」
「それでも、アネモスの戦士達は諦めずに戦い――やっとの思いで、ガスパルを抑え込む事ができたのです」
ギュとお腹の前で両手を握りしめるグレイス
まるで襲ってくる悲しみに耐える様に
「しかし、この国の負った傷は深かった。森は死に、水は絶えた―――そして、王家の方々も...」
「――・・・死んだ」
そこまで言って、言葉を詰まらせたグレイスの後の言葉を代わりに紡ぐ
すると、コクンと小さく頷いたグレイス
その反動で、大きな瞳からハタハタと涙が散った