My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「生き残ったのは・・・プリンセスただ、お一人」
涙で震える声を噛みしめながら、言葉を紡ぐグレイス
その中に彼女の心に咲く、一輪の花を見る
「――それが今の・・・」
「女王陛下です」
擦れる声で言った俺の言葉の続きを、今度はグレイスが紡ぐ
瞳に涙を溜めて、俺をじっと見つめるグレイス
「姫様は心に深い傷を負われた。花の様にお美しかったお姿も、今はまるで枯れる事を望むかの様...」
「――」
「笑顔を失い、深い闇に囚われて――今も尚、悲しみの中にいらっしゃる」
そう言った彼女の瞳から、一筋の涙が零れた