ブラッドサースティ・キラー
 僕は救急隊の人に運び込まれ、病院へと連れていかれた。

 殴られた後頭部を治療してもらっている最中、血相を変えた家族みんなが病院へとやって来た。

 僕を従者のように扱う美月姉さんが、僕の顔を見た途端に泣き崩れたのは驚いたけれど。

 自分が買いに行けなんて言わなければこんなことには……なんて、自分を責めているのかもしれない。

 後頭部を殴られて、殺人鬼なのか殺人者なのか分からない人の側にいたことには変わりなくて、怖い思いをしたのは事実だけれど。

 美月姉さんは悪くないのに。

 んもう、本当にちょっとしたことで美月姉さんは泣くんだから。美月姉さんは泣き虫だなぁ……。

 僕は自分が大丈夫であることを見せ付けるかのように、笑って見せた。
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