フェアリーカンタービレ



テルミトラは、玉座に来ると、鍵を肘掛けに置いた。

そして、立ち上がった。

その途端、ドアが開き、マントを被った男が入ってきた。

テルミトラはそれが今日契約をするはずの男だとわかった。

なぜなら、予約表にマントをくくりつけていたからだ。

男はテルミトラには目もくれずに七本の鍵に向かっていった。

テルミトラは、一瞬ポカンとしたが、男の目的が分かると、即座に鍵へと向かった。

しかし、男の方が早かった。

男は鍵を手に握りしめると颯爽と扉へひるがえした。

「ダメー!!!」

テルミトラは、叫びながら風の魔法を使う。

すると、大嵐のような風が吹き、男のマントと
テルミトラのマントが外れた。

男は一瞬振り返り、ビックリしたような顔をして、扉を出ていった。

男は少年だった。

不運にも、悪魔の服装をしていた。


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