花嫁指南学校

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 揺れる思いを抱きながらも、恵梨沙は学園の敷いたレールの上を進んでいる。二年に進級する際、カメリア女学園の学生たちは「自己紹介書」というものを作成する。これは他校の学生でいうところのエントリーシートや履歴書のようなものである。学園が構築したお見合いのシステムというのはユニークかつ優れたもので、出会いを求めるエグゼクティブ男性はホームページ上で女子学生のプロフィールを検索し、好みの学生とアポイントを取ることができる。学園が運営する結婚相談所は「カメリア倶楽部」という。

 それぞれの学生の自己紹介ページには、氏名、生年月日、出身地、趣味や特技といったありふれた項目の他に、学生の身長やスリーサイズ、好きな男性のタイプなどカメリアならではの情報も盛り込まれている。もちろんプロのカメラマンによって撮影された十数枚の写真も掲載されている。写真の中では、モデル並みに化粧をした学生が様々な衣装を身に着けてポーズをとっている。アルバムと称されるそのコンテンツにはまずアップの写真があり、次に清楚で可愛らしい男受けする私服姿、振袖姿、ドレス姿、そしてなんと水着姿の写真まである。もちろん水着は際どいものではなく、大手のミスコンテストで着用するようなワンピースのおとなしいものだ。アルバムの中では、アイドルのように微笑む学生たちが様々な趣向を凝らした写真に収められている。また、動画のコンテンツでは学生がカメラに向かって自己紹介をしている。
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