綴られた恋物語


芽依のこぼれ出た言葉を聞いて考えるより先に体が動いた。


か細い声で芽依は最後に言った。


いつも屋上からこっちをただ見てたって。
いつも笑ってる夏実が、
そのときだけは、泣いてるように見えたって。


早く早く夏実の元へと走って走って、
屋上にたどり着いた。


そしていつもよりずっと小さく見えたその背中を、

強く強く、抱き締めた。



「夏実…!」

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