綴られた恋物語


「空、青いね…」


屋上から空を見上げると、雲ひとつない空がそこにあって。

なんだか無性に悲しくなった。

今、隣に大嶋君はいない。
今頃芽依ちゃんに腕を組まれて、
体育館に向かってるいるだろう。


「あたしも空になりたいな」


空はいつでもそこにあるから。

太陽と月がいて、雲がいて、淋しくないんだろうな。

あたしもいつも大嶋君といたい。
でもそんなワガママ、言えない。

あたし1人に時間をつくることはできない。
そう分かっていても、寂しいもので。

毎日体育館の見える立ち入り禁止の屋上に来ては、一粒だけ涙を流す。

これは絶対バレてはいけないこと。
バレたら、終わっちゃうから。
大嶋君はいつだって笑ってるあたしが好きだから、


だからこれは秘密。
決して誰にもバレてはいけないし、
あたしだけの秘密。

< 8 / 23 >

この作品をシェア

pagetop