キスから始まるセカンドラブ
顎を持ち上げられてまた塞がれた。今度は息つく間もないくらい、激しく重ねられる。離れようとしても後頭部を押さえつけられていて自由なんて一切ない。また、力任せ。本当に本当に嫌だ。そう思っているのにこんなキス初めてで受け入れようとしてしまってる自分にショックだった。

私、バカすぎる。クラクラするような甘い蜜に今にも吸い寄せられて抵抗の意志すらさっきよりも見せれていない。智人さんとのキスはこんなものじゃない。軽い挨拶のように一瞬触れるだけ。

無駄な予備知識だけは頭の中にビッチリと入っている私にとってそれは少しずつ物足りなさに変わってきていつもキスの後もっと欲しいとまで思うようになっていた。だから刺激的すぎるこのキスにもう少し酔っていたい自分ともちろん絶対にありえない、智人さん以外の人とのキスなんて認めないという相反する私がいる。

きっとこんな天秤のようにグラグラ揺れつつある私の心境を目の前のこの人はいとも簡単に見破っているに違いない。それでもいざ唇が離されると彼にぶつける言葉は批判的なものだけになるのはまだ私が一瞬グラついただけの証拠だと思う。

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