キスから始まるセカンドラブ
西田さんはゆっくりと店内に足を進める。心なしか早苗さんがポケットに入れてある携帯をギュッと握りしめるような気がした。私も自然と力が篭る。



「・・・あの、花を一輪もらえませんか?」



西田さんはいつものようにそう私を見ながら言った。早苗さんが気を遣って私が見立てますと言ってくれたんだけど西田さんは真っ直ぐに私を指差した。


カウンターを出て彼に近づく。



「・・・どんな花がいいですか?」



恐怖心を隠して笑顔で伝えたつもりだった。でも、西田さんは笑うこともせず私をジッと睨んでいる。そして冷たい声でこう言った。



「たくさんトゲのついた・・・黒赤色の薔薇を」
< 65 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop