チャット恋愛注意報!!(旧)
「YUKI、宿題手伝ってくれてありがとね」
「また何かあったら、今度は早めに連絡してね?」
「う……はい、わかりました……」
ポンポン、と頭を叩くYUKI。
それから私とユージを見て、ふっと小さな笑みを浮かべた。
「『高校生ルーム8』でサクラとユージに出会えて、本当によかったと思ってる。
一人で悩んでた俺に最善の道を示してくれたのは、紛れもなく二人だよ。 本当にありがとう」
「え、いや、あの……別に私たちは……ねぇ?」
と、慌てながらユージに視線を送ると、ユージも『俺らは何もしてないよ』と首を横に振った。
だけどそれでも、YUKIはクスッと笑って小さく言う。
「二人に助けられたのは事実だよ」
そう言ったあと、YUKIは手をひらひらと振って歩き出した。
「YUKI、あのっ……」
「シュウ」
「……え?」
「俺のことはシュウって呼んで。 チャットする時はその名前でログインする。
ユキ姉がチャットに復帰するんだ、【ユキ】が二人居ちゃややこしいだろう?」
メガネをクイッと直したYUKIは、ニコッと笑った。
そしてまた手を振って、ゆっくりと歩き出す。
「……シュウ、色々ありがとうっ……」
「どう致しまして」
「あの……あのね、私、頑張るからっ……」
「うん」
道路で待っていたフジヤマとユキ姉に合流し、シュウはもう一度私を見た。
「サクラなら大丈夫」
とても優しい顔で笑ってるシュウ。
その隣でニッと笑ってウィンクするフジヤマ。
ニコニコ顔で手を振るユキ姉。
みんなの顔を見渡したあと、私は大きく大きく頷いた。
「みんな、本当にありがとうっ」
私のその言葉にそれぞれが頷き、3人は笑顔のまま去っていった。
私とユージは3人の姿が見えなくなってもそこに立ち続け、ギュッと強く、お互いの手を握りしめていた。