チャット恋愛注意報!!(旧)
………
……
…
「……みんな、行っちゃったね」
「ん」
「さっきまであんなに賑やかだったのに、なんか寂しいね……」
ジリジリと痛い日差しを浴びながら、私たちは静かに手を離した。
そしてそっと、見つめ合う。
「……明日から、学校だね」
「うん」
「私、ちゃんと頑張ることが出来るかな……」
「頑張るってみんなに言ったんだから、頑張らなきゃ」
「……うん……」
家の中に戻りながら、ユージは言う。
「サクラなら大丈夫。 YUKI……いや、シュウがそう言っただろ?」
「うん……でも私……」
「『でも』は言わない。 それを言ったらキリがなくなる」
「うぅ……はい……」
中に入り、パタンとドアを閉めた時、ユージがギュッと私を抱きしめてきた。
「あの……ユージ?」
「俺たちと居る時みたいに、いつも通りで居ればいい。
最初は緊張するだろうし、上手く行くという確証もないけれど。
それでもいつもみたいに笑っていれば、きっと誰かは受け入れてくれるから。
もしダメだったとしても、『高校生ルーム8』のメンバーが居る。 自分をわかってくれる人たちは居る。 そう思えば、気が楽になるだろ?」
……自分を、わかってくれる人たち……。
そっか。
私は一人じゃない。みんながそばに居てくれる。
……そうだよね。 学校でダメだったとしても、それだけが世界のすべてじゃないもの。
世界は広い。
『高校生ルーム8』のメンバーのように、私を受け入れてくれる人はきっと居る。
「……ユージ、ありがと。 いつも私を導いてくれて、ありがとう」
「そんな大それたことはしてないけどね。 むしろ俺、サクラに言いつつ自分にも同じことを言い聞かせてるから」
「……ユージも、頑張る……?」
「うん、頑張るよ。 沢口さんもシュウもユキ姉も、そして桜子も。 みんな頑張って前へ進もうとしてるだろ?
だから俺も頑張るよ。 俺の出来ることを、精一杯頑張っていく」
抱きしめられた状態で、ユージの言葉を聞いた。
精一杯頑張る。 そう、私も精一杯に頑張っていこう。
自分の出来ることを、一生懸命にやる。
私たちはみんな、広くて大きな世界で羽ばたけるはずだ。
「一緒に頑張っていこうよ、サクラ」
「……うんっ」
ユージの体をギュッと抱きしめ返し、私たちは微笑んだ。