チャット恋愛注意報!!(旧)


そんな、ある日のこと。



ピンポーン



……と、玄関のチャイムが鳴った。

でも私は居留守を使う。 というか、お母さんにそうするように言われているのだ。


一人きりの家で、見知らぬ人が来て何かあったら……そんな風に心配していた。

宅配便なら不在票を置いていくし、それ以外の訪問者はどうせほとんどがセールスだ。


だから私は玄関のチャイムが鳴った瞬間に息を潜め、自分を隠した。

幽霊の私には、隠れるなんて容易なことだ。

数分すれば、訪問者は帰っていく。 ……はずなんだけど。




ピンポーン

ピンポーンピンポーン


ピン ポーン




……なんでチャイムを連打してるのっ!!

怖い怖い怖いっ!! 新手の詐欺かなんかですかっ……!!




ピンポーン




「……なんなのよぉ……」




2階の自分の部屋に居た私。

窓から外を窺えば玄関の辺りが見える。といっても、ほんの少しだけど……。

しゃがみながら、レースカーテンの隙間から外を見る。




「……えっ!?」




そこから見えた光景に、心底驚いた。








「ユージ……!?」






チャイムを鳴らすのを諦めたのか、その場を立ち去ろうとするユージ。


なにこれ、夢?

ユージがどうしてここに?

ていうか、どうやって私の家をっ……!?




「ど、どうしようっ……」




頭の中は、大パニック。

その次の瞬間、私の目に映ったのは……、




「……っ……」




……庭にある大きな木を登り、屋根に上がったユージの姿だった。


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