夏のカケラ
八田は苦笑いを浮かべた。


桜川も笑う。


「所で・・・桜川」

「うん?」

「お前はあの子達に、今日まで休みを与えたんだよな・・・?」

「ああ・・・」

「何で・・・練習してるんだ?」


校長室から見えるグランドには、野球部全員がいつも通りの練習をしていた。


桜川は苦笑いをした。


確かに・・・朝から、アイツらは練習をしていた。

桜川はこうなる事は目に見えていた。


甲子園に行く奴らは全員こうなる。


昨日の朝の段階では、前日の興奮が冷めずに朝から新聞やニュースを見てニヤニヤする。


所が昼近くに成ると、暇を持て余す。今まで過酷な日々を過ごして来た戦士達は暇が嫌いなのだ。


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