Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
お姉ちゃんの前で虚勢を張っていたのは、別に負けたくなかったからじゃない。
ただ、カッコ悪い所なんて見られたくなかっただけ。
年下だけど、弟だけど、彼女には凄いねって褒められていつだって頼られたかったんだ。
自覚はその時だけど、多分出会った時から惹かれていて、口でお姉ちゃんという程も僕は彼女を姉弟としては見てなかった。
この世界で唯一、特別で大切な人。
『ひゃ。』
何もナイ歩道で躓くどうしたものかと思う“お姉ちゃん”
『美久、手繋ご?そしたら転ぶ前に助けてあげられるから。』
唐突にお姉さんから呼び捨てに変わった事に彼女はほんの少し不思議そうな顔をしたものの
『ありがと。悠里は優しいね。』
あまり深く考える性質ではなく、ふにゃっと笑って、差し出された僕の手を握った。
僕はもっともっと強く柔軟に、何でも出来る人になろう。
美久が一番に信頼し、安心して全てを任せられる存在になるために。
この手を振りほどいてどこかへ行ってしまう事のないように――――
『愚かな。保護者の手など本物の王子と出会えば躊躇もなく放される。』
辛辣なセリフにセピア色の光景が霧消する。
視線を向ければ、目つきの悪い黒いマント姿のどうあっても悪役っぽい魔法使い。
…この顔、見覚えがあるんだけどどちら様でしたっけ?
怪訝に胡散臭い魔法使いを眺めていると、その口端が意地悪く持ち上った。
『さて、哀れなシンデレラに魔法をかけてやるとするか。この世界は今夜限りでオマエの物だ。欲望のままに煩悩のままに行動するがいい。』