Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
部屋に行くと店長の息子という少年が現れ、店長とバイトの川端君とやらと共にお目当ての美久も無事発見した。
どうやら仕事の帰りに同僚と飲み会ってものらしいけども。
帰らない、とまたも駄々を捏ねる美久。
「私、木戸さんに告白されて、お付き合いする事になったの。だから弟のお世話はもういらないの!」
ずっくんと疼く心臓。
そうか、だから美久は躍起になって僕の手を振りほどこうとしてるのか……。
絶望的な事態に、それでもショックがこの程度なのは既にもう僕の感覚が麻痺しちゃってるからなのかもしれない。
「そう!それはヨカッタ!彼は姉さんの本物の王子様だったんだね。」
思ってもナイ言葉を笑顔で言い切る事が出来るくらいに僕の神経は図太くなり過ぎた。
然も常識的なセリフで美久を納得させて部屋へと帰る。
人もいない静かな道を手を繋いで歩きながら、先ほどからしょんぼりしている美久をひょいっと覗く。
「どうしたの、美久。彼氏出来たのに元気ないね。…それとも僕がキツク言い過ぎた?でもアレは怒ったんじゃなくて心配だっただけだよ?」
「ん…何でもない。ゴメンね、悠里。心配かけちゃって。」
精彩を欠いた笑顔に引っかからなかったワケじゃないけれど、それ以上聞くのは止めて、代わりに繋いだ手に力を込めた。
振りほどかれない絆。
繋がる温度。
状況は暗転したワケだけど、僕はまだ一つたりとも失ったつもりはないんだ。
……ごめんね、美久。
悪いけど、木戸さんなんかに渡さないから。