Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

ちょっとからかったのが須藤の癇に障ったらしく、どうあっても拒否出来ないタイミングで久寿軒さんとのランチを設定された。

久寿軒さんからのランチの誘いをやんわり断っているところへ

『丁度イイ。今日までのランチチケットがあるからお伴してさしあげろ。』だなんて。

社食でも十分なのに、近隣パスタ屋まで足を運ぶ羽目になった。

仕事が決まってからというもの久寿軒さんは打ち合わせと称してよくここへ出向き、その度にアプローチも露骨になってきた。

親睦会と冠した食事の誘いも度々あったけど、上手い具合に交わし続けている。

当然。

ただでさえ短い美久との時間を邪魔されてなるものか。

その辺をよく分かっていてランチに設定してきた須藤はやっぱり友人であろう。

仕方ない。

僕も大人なので会社の拘束時間内は社会人として対応しよう。


「ふふ。柏木さんには上手く逃げられてばっかり…。でも次こそ是非ディナーもご一緒して下さいな。あ。それとも今度のお休みの日にお会いいたしません?」


誘いを交わしているのは焦らしていると思っている辺り、図々しい人。

僕は食事の手を止めて、面映げに微笑む久寿軒さんに笑顔を返した。


「申し訳ありませんが、出来かねます。業務上のお付き合いはともかくプライベートでお付き合いする気はありません。」


ハッキリ言った事が理解出来なかったのか、久寿軒さんがうろたえた視線を投げてくる。

―――社会人ですからね。

会社の利潤を考えて行動するけども、所詮は仕事。割り切るのも極当たり前。

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