Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
一階から階段を上がってきたのは木戸さんだった。
「運動のつもりで階段上がってきたんだが、まさかこんな所でオマエに出くわすなんてなぁ。」
ちょっとおどけたように言って木戸さんが私から視線を彼女に移す。
彼女は全てを弁えたように私に微笑みを向けた。
「貴重な休憩を割いて頂いて申し訳ございませんでした。それでは私はこれで失礼いたしますわね。」
私はまともな挨拶も返せないまま、彼女が颯爽と帰って行くのを見送るしかできなかった。
どうしよう…頭が真っ白。
身体に力が入んないよ……。
不意に頭にぽんっと大きな掌が乗った。
「……悪い。おおよそ話は聞いちまった。大丈夫か?」
優しい掌の感触に、意識する間もなく目から雫がぽろっと落ちた。
私は慌ててそれを拭った。
ごしごしごしごし…
私最低だ。
こんなトコロで泣くなんて。
よりにもよって、木戸さんの前で泣いてしまうなんて。
「ちょっと待ってろ」と言い置いて木戸さんが走り去る。
深呼吸して涙を止めて……。
涙は止まったけれど、どうにもこうにも動く気力が湧かなくて、ぼーっと座り尽くしていると
木戸さんが戻ってきた。