Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
伝えたいのに言葉じゃ伝わらない。
届かない。
どうしたら届くの―――?
両手を伸ばし、頬を挟んで、えいやっと身体を突き出した。
唇に温かな感触。
我ながら大胆な行動に顔から火を噴きそうになりながらも、ぎゅっと瞑った目を開いて至近距離の悠里の瞳を捕える。
「悠里は私にとって一生かけがえのナイ弟だよ。……だけどそれと同時にこういう事もしたいって思う特別な人なの。……悠里にとって私は違うの?」
弟とずっと一緒にいたいから結婚なんて言う暴挙に乗ったわけじゃない。
誰よりも愛おしい大切な人。
そんな相手ともっと触れ合いたいと思う私は絶対普通だと思うんだけどな。
悠里は違うの?
私の行動が余程予想外だったのか目を見開いて唖然としていた悠里の顔が不意にくしゃりと崩れた。
そうと見えたのは瞬間で、一瞬で距離を縮めた唇が重なった。
まるで喜び勇んだ大型犬に飛びつかれるみたいに降り注ぐキスの勢いでソファーに倒される。
すっと身体から退いた重みを追って目を開けて、ドクンと心臓が高鳴る。
ほんの少し上体を持ち上げ私を見下ろす悠里は眉を寄せて泣きそうに切ない表情をしていて。
白い陶磁器みたいな頬を少しだけ紅潮させて、透明度の高い琥珀の双眸は熱っぽく潤んでまるでハチミツみたいに甘い。
何でも知ってると思っていた弟の初めて見せる表情は、とっても色っぽくて艶やかで、身体の芯から痺れる。
ボンヤリ見惚れる私に悠里は尚も眉を寄せて泣きそうな顔で笑う。
「……違わないよ。僕は美久に出会ったときからずっとこんな風に触れたいって思ってたんだから。」
苦しげに吐露されたのが事実だとしたら、悠里はずっと我慢してくれてたんだ。
好きだって自覚もなく悠里の与えてくれる愛情でぬくぬくしていただけの鈍感な私に。