Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「却下だ。オマエだって分かってるだろう。久寿軒の仕事の所為で他の仕事が押してる。」
「須藤クン。所詮僕は会社の歯車の一つなのだよ。僕が抜けたって優秀な替えの歯車の一つや二ついるんだから。」
「忌々しい。一つどころか二つや三つ分を担っているくせに。そのオマエを易々と抜けさせられるか。」
唸る須藤クンと悠里の肩越しに目が合う。
「おいっ、ネーチャンからもなんとか言ってくれ。ネーチャンだってこんな気分で仕事を休むような男が旦那じゃ不安だろうが。」
「ちょ、何勝手に美久と話ししてんの!というか、目垢が付く!」
思いっきりドアノブを引っ張る悠里に須藤くんも負けじとドアの隙間に靴を差し込み応戦する。
「この無責任な社会人をどう思う!?そのうちリストラにあって将来はヒモ間違いナシのとんだ甲斐性ナシだぞ。」
「何をおっしゃる次期社長殿。君が辞めさせなきゃ済む話でしょーが。」
「使えんヤツを置いておくほど俺は甘くナイ!」
言い合う二人を若干引き気味に見詰めながら、考える。
お金は大切だと思うけど、全てじゃないよね。
もし将来、何らかの理由で悠里が働けなくなっても私が稼いで生活出来るなら良いと思うの。
……なんて、例えそれが本心でも、今この須藤君を前に言える勇気は無い。
須藤クンが鋭い双眸を悠里に向ける。
「大体オマエだってそれでいいのか。オマエが無職にでもなろうもんならネーチャンを家で軟き……一人占めするっていう夢も叶わんぞ。」
「う゛…っ」
……悠里、そんな事思ってたの。
夢のハードル低過ぎない?
「そればかりかオマエを養うために夜のバイトに出る事になり、露出の高い服を身に纏い夜な夜なスケベジジイに愛相を振りまき―――」
悠里が耐えられない!というように頭を抱えて悲鳴を上げる。
……須藤くん。
勝手に私達の将来設計しないで下さい。(しかもかなり悲惨)