Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
それを今度は僕が正面から見据える。
「昨日の今日で言を翻してしまって申し訳ありませんけど。彼女とただの姉弟でいる事なんて僕には絶対ムリです。」
例え恋人になれなくても姉弟と言う普遍的な関係があればそれで平気だなんて錯覚したのはたぶんあの部屋の所為。
俗世間から隔離した二人っきりの空間。
世界に僕と姉だけしかいない錯覚。
だけどそれは愚かしい勘違いだ。
一歩部屋の外へ出れば姉は自由で、決して僕だけの物ではいてくれない。
僕じゃない誰かに笑いかけ、僕じゃない誰かと会話し、僕じゃない誰かと時間を共有する。
僕じゃない誰かと愛し合う。
首筋に付いた赤い痕は否応なくその事実を突きつけ、僕の箍はあっけなく外れた。
大切に大切にしたいと思うのも嘘じゃないけれど、僕じゃない誰かの物になるくらいならいっそこの手で壊してしまおうと思った。
結局壊すには至らなかったけれども…
「どうしたって姉を苦しめる事になるなら、僕は一緒に罪に溺れて心中する方を選びますよ。」
僕を諭しようの無い暴君だったと、須藤は言った。
聞いた時、我が事ながらまさかぁ…と思いはしたものの、今なら事実と分かる。
僕はこんなにも我儘だ。
しかし煩悩を前にして理性はあまりにも無力だ。