Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
どんっ!!!
重い音を響かせて、階段を一っ飛びに落ちた身体が段下にいた人物に受けとめられた。
マエリさんは自分に起こった事が受けとめられないでいるのか、あまりの出来事にショックが過ぎたのか、ガタガタ震えているだけ。
「騙された事も腹に据えかねますが、僕が何より許せないのは姉を傷つけた事ですよ。」
彼女を見下ろしながらゆっくりと階段を下りていく。
僕は須藤から全てを聞いた。
僕が望んでやまない事実。
あまりにも願いどおりで些か出来過ぎな感はあったけれど、須藤が嘘を言っているようには見えず、確かに事実なんだと分かる。
だとしたらその事実に姉さんはどれほど苦しい思いをしたのだろう。
この人はどれほど姉さんを追い詰めたのだろう。
いや、例え掠り傷だって姉さんに付けるのは僕が許せない。
マエリさんを受けとめた須藤は僕に文句を浴びせかけ、僕の顔を見るなり止めたよう…。
そして震える彼女の肩に乗せていた手にぐっと力を入れた。
「……久寿軒さん、あれが柏木悠里という男だ。普段は優しい王子様でありながら唯一の激麟に触れれば修羅にも勝る。貴女はその激麟を見事に逆撫でしたんだ。これ以上怖い思いをしたくなくば、今すぐ逃げる事だ。そして二度と彼等には近づくな。」
階下まであと数段。
5…4…3…2…
「逃げなさい」
呟きと共にトンと肩を叩かれたマエリさんは、それを合図に駆けだした。