Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

☩ ☩ ☩

☩side美久☩

☩ ☩ ☩



人が徐々に増え始めた道を私はせかせかと歩いていた。

あ~っ、私ってほんとトロくてやんなっちゃうぅ。

体力回復にだらだらごろごろ一日を過ごし、不意に閃いた思い付き。

悠里の好きな料理を作ってあげよ~っと、なんて買い出しに出てきたけど、基本思いつくのが遅すぎた。

しかも悠里の喜ぶ顔を思い浮かべながらあれこれ考えていた所為で買い物に手間取っちゃったし。

平日より少ないとはいえ帰宅時間に差し掛かり人の出の多くなった通りに、焦る。

料理を作って待っているどころか、ひょっとしたら悠里の方が早く家に着いちゃうんじゃない?

ぅわ~ん。

競歩の選手にでもなれるんじゃないか、という勢いで歩いていた私は行く手にある人物を見付けて立ち止まった。

……久寿軒、さん。

お仕事だったのかスカートスーツ姿。

いつもは凛と前を向いて歩くイメージの彼女が俯き加減の心許無い足取りなのが少し気になったけど……お仕事で疲れてるのかな。

気遣いと言うより単純に逃げ出したい気持ちになっちゃうけど、これはいい機会だ。

私は拳をぎゅっと握りしめ久寿軒さんに向かって歩いた。


< 275 / 333 >

この作品をシェア

pagetop