Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

「久寿軒さん!」


私の声に顔を向けた久寿軒さんは私を見るなり顔を歪めた。

うぅ……。

いきなりの先制攻撃に若干怯みつつ、身体に力を入れて踏ん張る。


「あ・のっ…、私やっぱり悠里と離れるなんて出来ません。たとえ不自然な関係でも、悠里を苦しめる事になっても………。私、悠里と一緒にいたいんです!!」


思えば私はずっと弟の愛情に甘やかされてきたのだと思う。

私が特に人を怨むでも羨むでもなく楽しく幸せな日々を送って来られたのは、悠里がそうさせてくれたから。

弟という庇護を失って、同時にそれまで当然のように与えられてきた愛情を失って、初めて自分の中に眠る人として当たり前の欲望や憎悪に気付かされた。

それでも自分のそんな醜い感情を認めるのが嫌で、物分かりの良いフリをして悠里から離れようとした。

だけどそんなの嘘だって、昨日悠里に触れて思い知らされた。

悠里と一緒に居たいの。

他の誰にも愛情を向けないで。

私だけに注いで欲しい。

とても醜くて傲慢な願い。

だけどそれを卒なく叶えてくれる弟はもういないのだから、欲しい物は自分で戦って手に入れなくっちゃ。

もうこれ以上久寿軒さんの言うとおりになんて出来ない。

今更だけど全てを悠里に打ち明けて、もう一度気持ちを伝えるの。


ぎりっと久寿軒さんの唇から歯が軋む音が洩れた。

ひっ…!!

おっとりとお上品なお顔が般若みたい!


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