Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「そんな格好でも近場に逃げるなら問題ないじゃないですか。ひょっとしてそのままここへは戻らないつもりだったんじゃないですか?」
「へ?ええ?こんな恰好で私は一体何処へ…???」
「………木戸さん家。」
へ?木戸さん?
私は首を傾げる。
「何で木戸さんのお家なの?そりゃ確かに近いけど…。」
「恍けなくても結構ですよ。以前お付き合いしてたって聞きました。それに……今もお付き合いしてるんじゃないですか?」
……………。
ええっ!?
「ないないっ!!木戸さんとお付き合いなんてしてないよっ。そりゃ確かにこの前改めて告白されたけど」
「……やっぱりされたんだ……」
一層不機嫌そうに顔を顰める悠里に私は慌ててブンブンと手を振る。
「だけどそれはちゃんとお断りしたもんっ!!」
悠里が退院した日、私は告白されて、断った。
悠里とは恋人に戻れないって分かっていても、悠里を好きな気持ちが簡単に消える訳でもなく……そんな状態のまま木戸さんと付き合うのは失礼だと思ったし、何より違う気がして。
木戸さんに好意は持ってるけどその好意は恋愛感情じゃないの。
拙い説明だったけど一生験命話したら木戸さんはちゃんと私の気持ちを理解してくれた。
そして言ってくれた事は…
『俺は根っからのお兄ちゃん気質なんだろうな。悠里君だけじゃなくてオマエの事も妹みたいでほっとけない。それで俺が守ってやらないとって思っただけで、恋愛感情とはちょっと違うのかもな。』
だからフッたフラレタとか気にせず、しんどい時は遠慮なく頼れよ。って。
それが本当に保護欲だけなのか、木戸さんの気遣いなのか、私には分からないけども。
それからお兄ちゃんを自称する木戸さんは出来損ないの妹である私を宣言通り何かと気にかけてくれて。
私は気持に応えられなくて申し訳ない、と思いつつも、そんな戸惑いごと受けとめてくれる木戸さんに甘えさせてもらってたんだよね……。