Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
優雅に上品に、いつも通りの口調にいつも通りの態度。
薄らと微笑して見える表情までいつも通りなのに、何かが根本的に違う。
今日の悠里には生気がまるで感じられないのだ。
負のオーラを出さなくなったと思ったら、正のオーラも出さなくなって、生のオーラすら感じられなくなった。
見目が整っている故に意匠を凝らして作りあげられた人形がマニュアル通りに動いているような違和感を覚えざるを得ない。
人間の形をしながら人間らしくもない気配
薄気味が悪い。
社員に奇特な恐怖を与えるだけして打ち合わせは幕を閉じた。
試作室に戻り、久保塚が須藤に訴える。
「もう、限界ですって!これ以上はホントにオカシクなっちゃいますよ!!僕が!!!」
「…オマエがかよ。」
「しっかし、柏木も限界だろ。打ち合わせも無事(?)終わった事だし、なんとかしてやれよ。」
幸村の提案に須藤は唸る。
「柏木姉ももうすぐ帰ってくる筈だからな。下手に動いて擦れ違いになるよりここで待ってた方がイイと思うが――――」
須藤は自分のデスクに広がる美久パラダイスを見詰めたまま石造と化している悠里を見詰める。
どうしてここまで思いつめる事が出来るのか。
その一途さに感心もするが不安にもなる。
美久がこの世から失せる時がきたらきっと悠里は生きていけない。
彼を象る要素に美久が含まれているかのように。
心が朽ちてやがて身体も果てるのだろう。
まさか、今がその時だとは思いたくもないが…………。