Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
潤む瞳を隠すようにおずおずと悠里の首に腕を回しぎゅってしようとした矢先―――
「貴様等っ、俺の存在を忘れていちゃつくなーっ!!」
二階堂さんの怒声を聞いて我に返る。
そうでした。
今、修羅場でしたっけ。
ウンザリとした悠里の視線に、二階堂さんは仕切り直すように仁王立ちして奪った婚姻届けをばーんと突きつけた。
「さぁ、俺と勝負しろ!嫌とは言わさないぞ。コッチにはオマエ等の大事なこの婚姻届けがあるんだか………」
言っている最中に少し強めの風が吹き、婚姻届けは木の葉のようにひらひらと舞って小池に落ちた。
「きゃーっ、大事な婚姻届けがぁ~。」
「すすすすすみませんっ!!永久を挑発するだけのつもりで、終わったらちゃんと返そうと思っていたのですが…っ」
私は悠里の腕から降ろしてもらい、三人は池の渕へ寄って水面に漂う紙を為す術なく眺めた。
蒼い顔をした二階堂さんを見れば悪意が無かった事は分かるけれども…
とんだおっちょこちょいなのが否応なく判明された。
それにしても。
新郎は喧嘩を売られ、新婦は連れ去られ、肝心な婚姻届けは小池の藻屑となり。
……本当にグダグダ過ぎる結婚式になっちゃったな。
悲しいというよりも疲労感満載でははは…っと空笑っていると、頭上から場にそぐわない程麗らかな声が聞こえてきた。