Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「ホント君って昔から面倒臭い人だよね。」
失笑気味に言った悠里に視線を向け、私と二階堂さんはエッ!?と大きく目を見開いた。
タキシードの内側に手を入れた悠里は、まるでマジシャンみたいに婚姻届けを広げて見せたんだから。
「はい」と笑顔で差し出された紙を茫然と受け取る。
確かに婚姻届け…私の署名も本物……
「前に書いたヤツだよ。お守り代わりに持ってきてたんだ。まさかこれが日の目を見るとは思わなかったけど。」
だから大丈夫、というように私の頭を優しく撫でる。
やっぱり、悠里はスゴイな。
どんなピンチでも私が不安になるより早く、余裕綽々に解決しちゃうんだから。
私を安心させた悠里は、私同様ほっと胸をなでおろしていた二階堂さんに徐に視線を向けた。
「さてと。二階堂君が相当に面倒臭い人だってのは分かりきった事だけど、今回は色々やらかしてくれちゃったし、少しお灸を据えた方がイイかな。」
ニッコリと王子様的スマイルの悠里に対し、若干たじろぎながらも踏ん張った二階堂さんは漢(おとこ)だった。
―――――パシャッ……
爽やかに小さな水音と、驚愕の表情で凍りついた二階堂さんと。
そこで目にした光景に私はどう言葉を発して良いか分からなかった。
小鳥のさえずりだけが聞こえる清々しい沈黙。
「あ!こんな所にいた!!」
そんな絶妙で微妙なタイミングで、繁みを掻き分けどやどや人がやってきた。
見知った顔から、スタッフさんから、二階堂さんのお式の参列者と思しき人から―――
その誰もが一様に二階堂さんを見てフリーズしていく。