Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
先輩はテニス部の部長で、私はマネージャーで。
先輩は厳しいトコロは厳しかったけど、困ってる人にはさっと手を貸せる人で、私も良く助けてもらっちゃった。
先輩のその優しさに他意があったのかは計りかねたケド、私が好意を抱いたのは事実。
先輩のその優しさは単に私がトロイからなの?
それとも少しくらいは特別なのかな?
周囲の友達は『絶対特別だって!』と背中を押してくれたけど、勇気のない私はずっと告白出来ずに片思い。
そのうち三年だった先輩は大会が終わって、当たり前だけど部活を引退していった。
そのうち受験をして卒業してしまう…。
このまま会えなくなってイイの?
そんなの嫌。
それで一念発起して告白しようと決心した。
本格的な受験シーズンが始まる前にテニス部で行われる送別会の時に。
―――だけど。
「本当はさ、テニス部の送別会ん時に告ろうと思ってた。このまま会えなくなるのヤダなって思ってさ。」
えっ、と顔を上げる。
「…私も……です。」
戸惑いつつもそう答えれば、先輩は少し複雑な顔をした。
「だけど柏木、来なかったよな。」
「それは…」と言ったきり、私は苦い記憶に口籠った。