Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

告白しようと意気込んでいた送別会前のある日。

友達から先輩に彼女が出来たのだと知らされた。

先輩と同じ学年の一番美人と言われていた子。

それを証明するように、先輩と彼女がデートしている所も見てしまったもの。

もはや玉砕覚悟で告白しようなんて勇気も湧かなくて、泣き暮れていた所為で送別会にも行かなかった。



促されるように当時の事をぽつぽつ語ると、それを静かに聞いていた先輩は徐に口を開いた。


「…それってアヤの事か?」

「え?…あ、はい。先輩と同じ学年で校内でもトップ美人って言われてた人ですけど…」

「ありゃ俺の幼馴染だ。」

「………へ?」

「家が隣同士で赤ん坊の頃からの付き合いで、アイツ俺の事を下僕かなんかと勘違いしてんのかよく買い物の荷物持ちとかに付き合わされんだよ。」

「えっ!……で、でも」

「アイツ、ガキの頃から俺の兄貴と付き合ってっけどな。」

「…………………。ええっ!!!」


とんだ事実に私は唖然とする。

…じゃあ、あの時、失恋したと思って泣きまくったのは何だったの。

まさか私の思い込みだったなんて。

自分のうっかり加減に茫然自失している私を余所に先輩も難しい顔でうーんと唸った。



「や、…実はさ、柏木が送別会に来てくれてても、俺もきっと告れなかったと思う。」

「…え?」

「俺も送別会前にオマエに彼氏がいるって知った。で、偶然オマエが男と歩いてるのも目撃しちゃったしな。」


え?は?へ?


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