Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩


頼んだのは…悠里じゃない、の?


ちょっとだけホッとしながらも疑問は残る。

だって、一体誰が何のために彼女に木戸さんを誘惑させたというの。

身も蓋も体裁もなく悠里を紹介してと迫る彼女を適当に交わして覚束ない足取りで歩き出す。


―――偶然にしちゃ出来過ぎ


先輩の言葉が脳裏を巡る。

私があの時彼女を誤解したままなら、先輩の時の二の舞だった。

これは偶然?

違うなら………―――



「店長っ、シフト表見せてもらいますね。」


店に戻った私は店長に声を掛けバックヤードに入ってシフト表を引っ張り出した。

分かっていた事だけど……分かってなかったのかな。

見事に。

木戸さんのシフトと私のシフトは擦れ違っている。

改めて思い返してみれば、本来なら木戸さんと会えるハズの日に急遽私のシフトが代わって会えなくなったという事も少なくナイ。

最少人数で回している上サービス業だし、そんなイレギュラーもお約束…なんて、たいして気にせず諦めていたけど。


―――デモ。


…だけど。

これが誰かの策意だとしたら、木戸さんのシフトを知ってなきゃ出来ない。

だったら悠里には無理だ。

悠里は私のシフトは知っていても木戸さんのシフトまでは知らないもの。



―――本当ニ?


脳裏を掠めた人物にシフトを捲る手が止まる。

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