【短編】友達彼氏
フラれたら、もう話すこともできないのかな。
いや、でも、友達に戻るというだけだ。
話をしなくなるというのは、不自然じゃないか。
だとしたら、今までと何が違うんだろう・・・。
この場所はあまりに寒すぎて、私は自分の足を包み込むようにしてうずくまった。
この時期に雨なんて、珍しい。
余計に、体温が奪われていく。
「成美、ちゃん・・・?」
ザー・・・・
気のせいか。
雨の音がそう聞こえただけかもしれない。
私のことを「成美ちゃん」なんて呼ぶのは、一人だけだ。
でも、その相手が私に声をかけてくるなんて、もうありえない。
「お腹いたいの?」
さっきより、すぐ耳元で同じ声が聞こえた。
肩がびくりと跳ねる。
反射的に顔を上げると、膝に手を当てて
前屈みになる牧瀬が見えた。
・・・・やっぱり。
「・・・ちょ、急に顔上げないでよ」
相当びっくりしてるな、これは。
一気に2メートルくらい後退りした。
相変わらず、大袈裟なリアクションだ。
・・・顔も、赤いし。
「ごめん、大丈夫?」
「いや、うん・・・なんとか」