【短編】友達彼氏





牧瀬って、女子相手なら誰にでもこうなのかな。
すぐ照れて、真っ赤になる。
牧瀬は片手で口元を隠して、「考えてみたら、オレが急に声かけたんだもんね、」と誤魔化すように笑ってみせた。
なんとなく、気まずい。



「あのー・・・加藤、見なかった?」



恐る恐る私との距離を詰めながら、たどたどしく質問をする。
そんなにびびることないのに。



「ついさっき、帰ったよ」


「そっ、か・・・あ、成美ちゃんも一緒に帰ればよかったのに!」


「・・・・・・・」


「・・・・なんてね、ごめんなさい」


「帰らないよ、」


「え・・・・・・」


「私、多分、牧瀬が来るの、待ってた」



ザー・・・・


まるでテレビの砂嵐のような、雨音。

体感時間で三分ほどの長い間があいて、彼は再び「え」という一文字を口に出した。
放心状態というのは、このことを言うのか。






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