もう、明日がないなら…
「あら、もうすぐ復活?」

 病院の中庭のベンチに座ろうとした時、背後から聞き覚えのあるブーツの音が彼らの耳をかすめていた。

「佳美さん…!」

 振り返ると、相変わらず季節感のない真っ黒な服に身を包んだ佳美が立っていたのだ。目を丸くして驚く美沙に、佳美はニヤッと笑っていた。

「あなた、警察が来る前に、いなくなっちゃって…」

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