もう、明日がないなら…
「私は…」

 小さくつぶやいてみるも、頭の中は空っぽだった。

「誰?」

 孤独の波が押し寄せてくる。ふと、窓辺に飾ってあるピンクのバラが目に入り、彼女はそっと手を伸ばした。

 美しく咲くその花を一本、彼女が手に取ったその時だった。鋭い痛みが右の小指に走ったのだ。思わず花を落としてしまったが、流れ出る鮮血に目が釘付けになっていた。

 ドクドクと脈打つように流れ出る真っ赤な血…

 自分は生きている。そんな実感を持つことはできた。しかし…

 ワタシハ イッタイ ダレナノ…?

 彼女の体はフラつき、意識が遠のいて行く。彼女は孤独の闇に吸い込まれそうになっていた。

 ドウシテ ココニ イルノ…?

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