瑠璃一味のお戯れな学園生活
暗がり、静寂、二人きり。

それだけで、野菊達は只の野良猫を想像の中で化け物に作り変えてしまう。

化け物など、人外など、天神学園で飽きるほど見ているだろうに。

人間じゃない友人など、両手の指では足りないほど知っているだろうに。

野菊と咲花は、その見慣れている筈の存在に脅え、恐怖している。

…繋がれた手から、震えが伝わってきた。

どちらが震えているのかわからない。

或いはどちらも震えているのかもしれない。

本心は、この場から逃げ出したかった。

何もかも放り出して、この場から逃げてしまいたかった。

しかしそんな衝動に駆られる度に、シルヴィの屈託のない笑顔を思い出し、野菊と咲花を何とか踏み止まらせる。

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