瑠璃一味のお戯れな学園生活
「素手でやるんだよね?」

愛刀の夜桜をテーブルに立てかけ、軽く体をほぐすめのう。

鬼龍もまた、柔軟で関節を伸ばした後。

「さ」

低い姿勢で構えた。

両手を伸ばし、ジリジリと動く。

その癖、視線はめのうの方を見ていない。

まるで明後日の方向を向いた鬼龍の瞳。

…めのうは鬼龍のこの構えに困惑する。

普通、敵を前にしたら相手を凝視するでしょう?

敵の一挙手一投足を見逃さないように、注意深く見るでしょう?

何でこっち見てないの?

それが、練習体系の斬新さと合理性から多くの武道家・武術家・格闘家達から高い評価を受けている『太氣至誠拳法(たいきしせいけんぽう)』、通称『太気拳(たいきけん)』特有の構えである事をめのうは知らない。

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