男になりたい女と女嫌いな男


「どうした、ため息なんかついて」

「ううん、なんでもない
あ、この辺でいいよ」


いつのまにか家の近くまで来ていたみたい。


ばいばい、と手を振ろうとしたら

ガッ…

「え?」


上げた手を掴まれ、そのままぐっと抱きよせられた。


「理…央?」

「俺が、純を守る。もうつらい思いはさせない」


「理央…」

もっと強くなる、理央の腕。
コートの襟に、涙が零れた。



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