君想歌
脳裏に鮮明に残る。


俺の大事“だった”人。


長州、萩で松下村塾を開いて
俺たちに大切なことを
教えてくれた人。

“吉田松陰”

彼が幕府に殺されてから
俺はただ幕府が憎い、
そうとしか思わなかった。

いつの間にか復讐なんて
馬鹿げたものに走ってて。

先生の数々の教えを忘れてた。
その中に一つあったよね?


『自分の思った通りに
動くのも大切なことです。

間違っていると気がついた時はもう遅いかも知れません。

けれど栄太郎がそう願う
意志があるならば……』


貫き通しなさい。
  決して諦めずに――。


大事なことを思い出し
吉田は懐かしむよう小さく笑う。


桂さんたちには悪いけど。

俺って意外に独占欲が強いんだ。

だから絶対に和泉は離さない。




< 44 / 633 >

この作品をシェア

pagetop