灰色の掟
「いつか私達も、他国に戦争の為に派遣される事になるのかな…援助活動でも災害派遣でもない…人殺しの為に他国に攻め込む事になるのかな…」

不安そうに呟く豊田。

谷口はただ、安心させるように肩を叩くしかない。

「……」

小川は無言のままだ。

そんな事の為に、部下の手を汚させたりはしない。

いざとなれば自分ひとりが責任を負う事になっても、命令違反を犯すつもりでいる。

しかし小川とて、一兵卒に過ぎない。

彼一人の抵抗で、どこまで抗えるのか。

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