生まれたての放課後。
「ひまだからここ居ていい?」
「へ」
しばらく立ったまま話していた宏くんが、なんとまあそう言いながらわたしの前の席の椅子を引く。
ここ、って………ここですか!
「……っど! どうぞどうぞ!」
もちろんいいに決まってる。
宏くんがいいなら、話していたいに決まってる。
今日はラッキーな日だ……!
外はほどよいオレンジ色。
ああ、この前のときも放課後だったけど、あの時は冬だったから外はうす暗かったな。
もう3学期だから、だんだん春めいてきた。
このオレンジが終わったらまたすぐに暗くなるんだろうけど。
「宏くん、なにしてたの」
「サッカーしてた。三浦たちと」
「あ、宏くん、サッカーうまいよね」
そう言ったわたしに「うん、得意」って宏くんは笑った。
……笑った。
うれしそうに、笑った。
…ちょっとこれは、………ああ、好きだなぁ。