生まれたての放課後。
それから、
席が離れても、宏くんは気さくに話しかけてくれた。
なんてことない、クラスメート同士がするような内容を。
席が離れたとたんに交流がなくなるなんてことはなかった。
『好き』だとは思ったけど恋なんて呼べるほどじゃないちっぽけな好きだったし、毎日見れたらいいな、くらいに思ってたから、うれしい。
言葉をかわすたびに舞い上がって、ベアに報告する。
あの表情の意味は、いまだに分からないけれど、忘れられなかった。
「あれ、茶倉?」
日直で放課後ひとり教室に残っていたら、なんて偶然。
「わあ…宏くんだ」
「ははっ、なんだその反応」
突然 参上した宏くんは、そのまま、笑いながら教室に入ってきた。
「そっか日直か。おつかれさん」
わたしの机の前まできて、わたしの手元をのぞき込んで言う。
のんびり、日誌を書いていた。