生まれたての放課後。
「茶倉って意外と表情豊かだから笑う」
自転車を押しながら歩く速さを、わたしに合わせたまま。
学校に着くまでの道のりで、宏くんはあと何回笑うかな。
その間に、わたしはどのくらいもっと宏くんを好きになるかな。
首を傾げて困惑していると、宏くんが続けた。
「なんつーか、もっと冷静そうだと思ってた」
「…れ、冷静じゃないって言いたいの……」
「冷静じゃねえじゃん。よく笑うし、焦るし、今も」
ほら、って宏くんがわたしの顔を見た。
…照れてる。
照れて焦ってる。
「…………」
うわ、なにこれ、恥ずかしい。
なんだ、これ。
今日はベアに報告することがたくさんだ。
「………宏くんは、人のことよく見てるよね」