生まれたての放課後。
「え」
「……人のことちゃんと見てて、思いやりがある」
これを機に、言ってしまうけど。
いつも思ってたよ。
友達と一緒に笑ってるときとか。
わたしと話してるときとか。
自然と周りに人が集まるけど、それだけじゃない。
「ちゃんと気遣いができて、その人が求めてないことは絶対にしないの」
「……茶倉のほうが人のこと見てんじゃねえの。はじめて言われた、そんなこと」
宏くん、だからだよ。
宏くんだから、よく見てるよ。1年前から、ずっと見てたんだもん。
「…えっと、ありがとう?」
「どういたしまして?」
お礼言うとこ?
宏くんは、照れたようにまたマフラーに顔をうずめる。
そしてなにか間を空けるように、はあー、と白い息を散らせからまた口を開いた。
「………“その人が求めてないことは絶対にしない”はどうかな」