生まれたての放課後。
「おはよう、宏くん」
「茶倉。おはよ」
当たり前のようにあいさつを交わすようになって、勉強も教えあえるようになって。
わたしたちは、数日で打ち解けた。
なんたってあの渡辺宏だから。
宏くんがこんなに人気なのがよく分かるくらい、宏くんはとても馴染みやすかった。
それに爽やかだし男子からも女子からも好かれるし、なんだろう。
カリスマオーラ、っていうのがある。
「冬だよなあ……」
「冬だねぇ」
窓の外を眺める宏くんは、しみじみ眠たそうにつぶやいた。
いちばん窓側の席だから、窓の外がよく見えるらしい。
宏くんは、寒いの苦手そうだなあ。なんとなく。