だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
「・・・っ!時雨さんっ!どうしたんっすか!?」
「ちょっ・・・っっ!何かありましたか!?」
松山も篠木もあたふたしている。
そんなことすら可愛くて仕方ない。
後輩がいるっていう実感を。
今初めて、噛み締めたのかもしれない。
「嬉しくてたまらないの。このチームで仕事できることが。二人の成長が、こんなにも嬉しい!」
「しぐれさん・・・」
「ありがとうございます。俺も、嬉しいです」
そう言うと、みんなが笑う気配がした。
同意の気配が。
少し恥ずかしそうに、それでも嬉しそうな松山と篠木を見て、三人で笑った。
みんなで肩を組んで、もう円陣みたいだけれど。
遠慮がちな力で抱き締め返された手に、どうしようもなく嬉しくなった。
今日は相当酔っ払いになるな、と思ったけれど、そんなことも構っていられなかった。
素直になることは、みんなを喜ばせることだと感じた。
そんなことをぼんやり考えていると、ぐっと二人が私から引き剥がされた。
両方から手が伸びてきて、するりと私から二人を抜き取ってしまった。
その手の主は櫻井さんと森川。
少し複雑そうな顔をしながらも、嬉しさを滲ませた顔で、私は二人に見下ろされた。
なんで?と目線で問いかけると、先に答えたのは櫻井さんだった。