Bussiness Trip
雪乃の唇を堪能して離した時、お互いに息が上がっていた。
じっとうるんだ瞳で俺を見つめる雪乃の髪をなでる。
「明日、休みだよな?」
黙って目を見てうなずく、雪乃。
「じゃあ、泊まるか? ここに」
雪乃は驚いたように目をみはって、口をパクパクさせている。
「どうする?」
頬を優しくなでながら返事を促す。
「か、える……」
喉にひっかかるような、かすれた声。
「だけど、もう最終の新幹線、終わったみたいだ」
俺は腕時計を見て言った。
「え、うそ」
雪乃は困った顔をする。
「あの時、帰ろうって俺は言ったぞ」
「うん」
「ひきとめたのは、おまえだよな」
俺は何とか説得を試みようとする。
「それは、私のせいで風邪でもひかれたらと思ったからで……」
「わかってるよ、おまえが計算でこんなことできるようなやつじゃないってことぐらい」
じっと目を見つめながら、言葉をつむいでいく。
「でも、もう止められそうにないんだけど」
髪や頬を優しくなでながら。
「……」