モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「で?お前はなんで
こんなとこ歩いてんの?」

「朔夜様が、
お天気がいいから
いつも歩かないところを
お散歩しましょうって
誘ってくれたの。」

シエルと嬉しそうに
雑談を交わす
沙羅を見ている朔夜に、
声をひそめてアルカが
話しかけた。

「あの、ノークスさん。」

「なんです?」

「今朝、早くに
シプレさんが来て、
もし喪があける前に
ノークスさんに会う
機会があったら
これを渡すようにって。」

渡された小さな紙片を
開けて中を見ると、
場所と時刻を綴る
整った文字が並んでいた。

その下のマルで囲まれた
紅喰(エッセン)という
文字に、目を見開く。

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