モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…これを
シプレが?」
「はい。渡せば
わかるからって。」
「…。」
シプレは、朔夜の
正体に気付いている。
それも、なんとなくとかの
推測のレベルではなく、
確信を持っている。
紅喰、という言葉は、
チェーニ国で
吸血鬼たちの食事―
つまり、血を吸うことを
指す言葉だ。
朔夜がメリッサを
紅喰(た)ベていると、
彼女は感づいたのだ。
つまり、朔夜が
吸血鬼だと。