モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

血さえあれば生きられる
と言っても、吸血鬼に
とって人の食べ物は
嗜好品であり、同時に、
補助食でもある。

つまり、食べなくても
問題はないが、食べること
そのものは当たり前のことで。

姫乃は数日前、義弟である
朔夜の了解を得て、
朝昼晩、すべての食事を
ソラマメで統一してみた。

とりあえず、スープから
デザートに至るまで、
よけて食べるのが
不可能なように、
それでいて、ソラマメの味が
気にならないように
工夫に工夫を凝らし、
手間暇かけてつくった。

何が入っているか
知っている朔夜の
気にならないという
お墨付きも貰い、
自信満々にだした料理。

妹の沙羅は、すべての料理に
ソラマメが入っていることなど
微塵も気付かなかったほどの
素晴らしい出来栄え。

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