モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
しかし、凍夜は、食事を
出された瞬間に、眉間に
しわを寄せ、ナイフで
少しつついてから、
すぐに席を立ってしまった。
姫乃が凍夜の為にどれほど
苦労して作ったかを
朔夜に諭されようと、
沙羅が目の前で自分の分と
凍夜の分をそれはそれは
美味しそうにたいらげようと、
凍夜は一口も食べては
くれなかったのだ。
あげく、最後には一口も
食べてくれないと不満を
漏らした姫乃に、凍夜が
とうとう苛立ってしまい、
姫乃は朝昼晩摂れなかった
食事の分もといつも以上に
血を吸われ、そのあとは
おしおきとばかりに
焦らされ、啼かされて、
まる一日ベッドから出して
もらえないという
さんざんな目に遭った。
そうして、声が涸れて
足腰が立たなくなるほど
おしおきをされて、
ようやく回復したのが
今朝の話。
…それでも懲りずに、
ソラマメを食べさせ
ようとする姫乃も姫乃だが。